【1975年12月29日 STVラジオ 道産子フォーク‘75 でのインタビュー】
K:いまや忙しさ一番の人です。世界歌謡祭グランプリに輝いた中島みゆきさんです。忙しいところようこそ
N:どうも、こんにちは
K:今年もおしせまりまして、中島さんの場合は、 後半になって突然なにかマスコミも含めて渦の中に飛びこま「させられた」という感じもするんだけど、 そうした中にいる自分というのはどうですか、気持ちとしては?
N:いや、なんか渦の中にいるって気がしないんです。まだ。
K:まだしない?
N:えぇ、まだこうずっと外で、こう洗濯機の外で洗濯機を眺めている感じですね。
K:わりと傍観しているような感じなの?
N:えぇ、まだこうなんか呆気にとられている感じ
K:わりと呆気に取られている時間が長いね。
N:えぇ、私は例えば130曲持ち歌がありますけどね、その130の中の一つがたまたま、
こうやって評価されましたけどね、残りの129が同じに評価されたわけとは思いませんからね。
最初からやり直しです、また。
K:その一つの評価を受けた『時代』と言う歌だけれども、
非常に何かスケールの大きい歌だなと思うんだけれども、
どんなこう背景っていうのかな、どんなふうに歌って生まれたの?
N:あれは別にね、書こうと思って書いた曲じゃないんだけどもね、
ああいう人が生まれかわるみたいなことは、もともと考えていたのね。
ストレートに出したいなと、思ったまんま。あとわりと短時間で書けた曲ですね。
書いた後から実感が一つ一つね、やっと分ってきたみたいな。
K:じゃ、例えば何かの経験に基づいたとかって、そういうような事でもない?
N:うん、別に何かあったからって、そのショックで書いたみたいな事はないですね。
K:そうですか。
やっぱりそうすると過去23年間の何がしかのことにしておくってことなんじゃないかなと思うんだけど。
女性としてね、来年は何をしたい?
N:女性としてですか?
K:別の言い方、あ、同じか、女として。
N:来年の抱負ですか。別に出産予定もないですしね〜
K:なんですって?え?
N:え?いやいや・・・
K:何しましょ?
N:何しましょ?ま、差し当たって出来ないことが多いからね。一つ一つ色々やっていきたい。
例えば私泳げないしね。あと例えば自転車に乗れないしね。
例えば書道できないしね。もうたくさんあるのできないこと。
K:運動はもう駄目ですか?
N:私は、いや、陸上競技とかはね、跳んだり跳ねたりはしてたんだけどね。
ちょっと器用なことになると駄目。
K:ちっとも器用じゃないじゃない。水泳とか。
N:イヤだってあんた、水に浮くなんてオカシイ絶対!
K:人間の趣味で、自然界に反しますかね?
N:あんなもん浮くのがおかしい!
K:自転車がまっすぐ走るの、おかしいですか?また来年もフォーク音楽祭など行われますけれども。
北海道からもね中島みゆきさんみたいな人を目指して、
後輩が続々と出てくるんじゃないかと思いますけれど、
一つアドバイスといったところをお願いしたいですね。
N:いや、まぁ私はね、よく聞かれるのはね、
「賞もらえるような曲ってのは、どういうの書いたらいいんですか?」
って聞かれるんですよ。
だから「そういう所目指して曲書いているんですか?」って、私はいつも言うのね。
まぁ「好きなもん書いたらいいんじゃない?」ってしかいえない、私は。
ま、最終的に自分のやりたいことをやったと思うほうがね、最後に自分自身は幸せじゃないですか。
K:なるほどね。じゃひとつ、女性としてもあるいはグランプリ歌手としても来年も一つ頑張ってください。
N:どうもありがとうございました。
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